越原(おっぱら)ハナノキ自生地(国指定天然記念物)

 名称     越原ハナノキ自生地 
 指定番号   内務省告示第270号
 指定年月日  大正11年(1922)10月12日
 所在地  東白川村越原字松尾1907番2ほか
 所有者  東白川村ほか
 形状等
 地目  山林
 筆数  3筆
 地積  17,260平方メートル 

越原ハナノキ自生地は、東白川村越原字松尾の一角、穴沢(あなさわ)谷の源となる標高700メートルの山地で、その面積は、約17.000平方メートルに及ぶ。
ハナノキは、アカマツ、コシアブラ、カエデ類、ツガ、モミ等と共にオオミズゴケ型の湿地を中心に生育している。このあたりは、ハナノキ自生地分布の北限といわれる。
ハナノキ(Acer pycnanthum K.KOCH)は、カエデ科の落葉高木の一種で、分布が中部地方の小区域(岐阜県東南部、長野県西南部、愛知県北部など)に限られ、近縁種がアメリカ東海岸地方に分布するのみという特異性によって広く知られる。
岐阜県では、東濃や加茂郡に多く自生し、天然記念物として指定されているものも多い。
また、ハナノキは、昭和55年(1980)9月20日東白川村告示第38号により東白川村の木に指定された。
ハナノキは、雌雄異株で4月下旬から5月上旬にかけ若葉に先立って真紅の花が咲き、美観を呈する。咲き競う紅い花の姿が遠くから眺められるので「花の木」の名が付いたという。
冬芽は、ほぼ卵形で、りん片は、4対くらいである。
葉は、1つの芽から次々に数対開き、若葉のうちは茶褐色だが、やがて浅い緑色に変わり、葉裏が白いのが特徴で、秋には1株ごとに異なる見事な紅葉を見せる。果実には翼があり、風にひらひらと舞い落ちる。
ハナノキは、別名をハナカエデ、ベニカエデ、アカモミジ、メグスリノキなどという。メグスリノキの名は、樹皮と葉を煎(せん)じて目薬としたことから付いたものである。また、俗称を目洗いの木ともいう。